トレイルシューズのアウトソールにおける事実上の標準——Vibram「メガグリップ」。その名を冠した新コンパウンド「メガグリップ エリート」が発表された。濡れた岩でも食いつくグリップはそのままに、軽量性と摩耗耐性をさらに引き上げたという。編集部が要点を整理する。
2016年の登場以来、Vibram メガグリップは「濡れた路面でのグリップ」という一点でトレイルランナーの信頼を勝ち取ってきた。国内外の主要ブランドが競うようにこのコンパウンドを採用し、いまやレース用シューズの多くがそのソールを履いている。今回発表された「エリート」は、その完成された配合を土台に、次の10年を見据えたアップデートだと位置づけられている。
何が「凌駕」されたのか
メーカーが強調するのは3点。ウェットグリップの維持、軽量化、そして摩耗耐性の向上だ。従来のメガグリップは、その粘り強いグリップと引き換えに、ハードなランナーにとっては摩耗の速さが悩みどころでもあった。エリートではゴム配合とラグ形状を見直し、同等以上のグリップを保ったままソールの寿命を延ばしたとする。
実際のレースコンディションでは、序盤の下りで感じる「初期の食いつき」が疲労の蓄積を左右する。滑るかもしれないという不安は、無意識のブレーキと余計な筋の緊張を生む。グリップへの信頼は、そのままペースと安全に直結する要素だ。
グリップは、速さの前に"安心"を生む。足元を信じられて初めて、下りに身を預けられる。— 本誌ギアレビューより
注目すべきスペック
- コンパウンド:新配合ラバー(ウェット/ドライ両対応)
- ラグ:形状最適化により排水性と接地面積を両立
- 想定用途:テクニカルなマウンテン〜ロングトレイル
- 採用予定:2026年秋以降、複数ブランドの新モデルから順次
編集部の見立て
コンパウンドはシューズの"素の性格"を決める。同じアッパー・同じミッドソールでも、ソールが変われば安心感はまるで違う。エリートが本命となるのは、濡れた岩やザレの多い日本のテクニカルなコースだろう。搭載モデルが出そろう秋、実走レビューで改めて検証したい。

